予防医学 生活

光老化 - 若さを維持するエビデンス!

太陽光を防ぐ

 

光老化(ひかりろうか)とは太陽光によって皮膚の老化がおこることを指します。
太陽光による影響として分かりやすいのは日焼けですが、長期的には皮膚の老化が引き起こされます。
皮膚の老化は見た目の問題だけではなく、身体を守る皮膚の強さにも影響します。

また太陽光によるダメージは皮膚の老化だけではありません。
太陽光にあたる量が多いと、皮膚がんを発症する確率も高くなります。

太陽光にあたることのメリットもあります。
それは皮膚に太陽光が当たると、骨の生成と維持に必要なビタミンDが合成できることです。

この記事では太陽光による皮膚のダメージと、それを防ぐ方法について解説します。
健康面では皮膚の強さや、皮膚がんの発生率の低下を目指しています。

さらに光老化を理解して予防できると、長く若い肌を保つことができます。
健康と同時に、肌の美しさを維持する方法を手に入れましょう!

 

この記事の重要メッセージ

太陽光にあたっている時間が長いと光老化と呼ばれる、皮膚の老化現象を生じます。

光老化によって肌の見た目の老化が進み、皮膚の強度も弱くなり、はりが失われます。
同様に皮膚がんの発生リスクも上昇します。

光老化は太陽光を避けることや、日焼け止め(サンスクリーン)や衣服による保護で予防することができます。

 

キーワード

光老化について理解し、肌の若さを維持すると同時に皮膚がん予防をするためにはキーワードをおさえておくことが大事です。

 

光老化 (photoaging)

ひかりろうかと読み、英語ではphotoaging(フォトエイジング)と言います。
photo (光)と aging (老化)を組み合わせた言葉です。
太陽光などの紫外線 (UVA, UVB)を含む光によって、自然老化よりも速いペースで老化することです。
その老化の兆候は、皮膚にあらわれます。

 

サン・プロテクション (sun protection)

太陽 (sun) から皮膚を守る (protection) ことです。
サン・プロテクションとして思い浮かぶのは、日焼け止めクリームや日傘などでしょう。
他にも有効なサン・プロテクションの方法がありますので紹介します。

 

光老化と皮膚のダメージ

光老化とは紫外線に繰り返しあたることで、皮膚に通常よりも早期の老化が起きる現象です。

光老化によって、皮膚には以下のような変化が生じます。

●光老化による変化

しわ
色素沈着(しみ)
ハリの低下(弾性の低下)

これらの現象は通常の老化でも生じますが、紫外線にあたる量が多いほど、早期にその変化が生じます。

紫外線は皮膚を構成するタンパク質を変性させる作用を持っています。
皮膚のタンパク質は主にコラーゲンで、皮膚にハリや強さを与えています。
紫外線によってこれらのタンパク質が変性するため、シワやたるみが出来てしまいます。

 

紫外線と皮膚がん

紫外線は細胞内のDNAも損傷させます。
DNAは遺伝子のことです。
ヒトを含む生物の体は細胞分裂しながら生命を維持しています。
細胞分裂の際に遺伝子であるDNAをコピーする必要があります。
紫外線によるDNAの損傷は、DNAがコピーされるプロセスを妨げます。
細胞にはDNAのダメージを修復する機能が備わっているので、紫外線によってDNAが損傷されても修復することができます。
しかし中にはDNAを修復できない場合が生じたり、DNAのコピーにミスが起きてしまうことがあります。
そしてそのような細胞の中に、がん化してしまうものがあります。
これが紫外線によって皮膚がんが発生する理由です。

紫外線は太陽光に含まれています。
そのため太陽光から皮膚を守る方法が大事になります。

 

紫外線

紫外線とは何かを説明するのは難しいですが、大まかに言えば太陽光に含まれる光の成分の一部です。
光は物理学的には波の性質を持っているので波長があります。

人間の眼は光の三原色である『赤, 緑, 青』を認識できます。
それぞれの色が異なって見えるのは、光の波長が異なるからです。

人間の眼は青を超えて紫までは認識できますが、紫を超えた短い波長は認識できません。
この紫を超えた波長の光を『紫外線 (Ultraviolet - UV)』と呼びます。

紫外線にも段階があり、大まかに3つの段階、すなわち UVA, UVB, UVCと分けられます。
紫外線を表す UVに、 A, B, Cを付けて UVA, UVB, UVCです。
光老化に関係するのは UVAと UVBです。
ただしUVAやUVBだけを切り離して太陽光にあたることは無いので、ここでは区別せずに扱います。

余談ですが赤を超えた長い波長も、人間の眼には認識できません。
この赤を超えた波長の光を『赤外線 (Infrared)』と呼びます。

もう一つ余談ですが、UVCはオゾン層を通過できませんので、地上には到達しません。

 

光老化しやすい人

生まれつきの肌質で、光老化の影響を受けやすい人がいます。

端的に言えば、もともとの肌が白い人は光老化の影響を受けやすいと言えます。
肌の色素が薄い人は、太陽光による皮膚のダメージが強いということです。

また生活スタイルによって光老化の影響を受けやすい人がいます。
屋外で仕事をする人や、屋外での趣味を楽しんでいる人がそれにあたります。
太陽光にあたっている時間が長いため、太陽光によるダメージが多くなるからです。
男性の方が光老化の影響を受けやすいと言われますが、男性の方が太陽光にあたる生活の人が多いからかもしれません。

人種によって光老化による皮膚の変化には多少の違いがあります。
しかし全ての人種で光老化は起こります。

 

太陽光への対策

ここでは光老化や光による皮膚がんの増加を防ぐための対策方法を解説します。

 

太陽光を避ける

もっとも有効なのは太陽光を避けることです
屋外で太陽光にあたる時間を減らすことは、とても有効な対策です。

また太陽光が強い環境や条件を知ることで有効な対策ができます。

例えば山の上など高度が高いところでは紫外線が強くなります。
登山するときに紫外線対策をすることは大事です。

夏は冬と比べて太陽光が強い季節です。
熱中症の予防とあわせて、夏場は日差しの強い時間帯に屋外で長時間過ごすことは避けたほうが良さそうです。

反射された太陽光が多い環境も、紫外線の影響を受けやすいと言えます。
特に水や雪は太陽光を反射しますので、海水浴やウィンタースポーツでは紫外線の強い影響を受けます。
これらのアクティビティをするときは、日焼け止めクリームなどを使用して肌を守りましょう。

 

日焼け止めクリーム(サンスクリーン)を使用する

太陽光のもとで活動する場合、日焼け止めクリーム(サンスクリーン)がとても有効な対策になります。

日焼け止めクリームには SPFという数字で、紫外線を防ぐ強さが示されています。
SPFは "sun protection factor" のことで、太陽光を防ぐ因子という意味です。

目安としては SPF 30以上のものを選ぶとよいでしょう。
市販されている日焼け止めクリームは SPF 30や50のものが多いです。

日焼け止めには PAという項目も表示されています。
これは "protection grade of UVA" のことで、UVAを防ぐ効果の強さを表しています。
+が1~4つの 4段階で表示されています。

日焼け止めクリームは汗や摩擦でとれやすいので、2時間を目安に塗り直しましょう。

 

日焼け止めが光老化を防ぐエビデンス

ここでは日焼け止め(サンスクリーン)の使用によって、光老化が防げるかどうかを評価した研究を紹介します。
結論から言えば、日焼け止めを使用することによって、皮膚の老化が抑えられたという結果でした。
(Ann Intern Med 2013. PMID 23732711)

オーストラリアの人を対象とした研究です。
日焼け止めを毎日使用した人 442名と、日焼け止めを不定期に使用した人 444名を比較しました。
ここで使用した日焼け止めは、SPF 15+のものです。

4年半にわたって上記の日焼け止め使用を続けてもらいました。
皮膚の光老化による変化を、1~6の 6段階で評価しました。

その結果、日焼け止めを毎日使用していたグループでは光老化の兆候が認められませんでした。
日焼け止めを不定期に使用していたグループとの比較では、光老化が24% 減少したという結果でした。

この研究から言えることは、SPF 15+の日焼け止めを毎日使用することが、肌を光老化から守るのに有効だということです。
東京の緯度は北緯 35度で、オーストラリアの首都キャンベラの緯度は南緯 35度です。
日本と近い日照条件での研究だと思われます。

ちなみにこの研究では、βカロテンについても光老化を防ぐ効果が調査されましたが、βカロテン摂取の有無で光老化に変化は無かったということでした。

 

日焼け止めが光老化から皮膚を回復させるエビデンス

もう一つ、日焼け止めについてのエビデンスを紹介します。
こちらは日焼け止めを毎日使用することで、顔に生じた光老化による変化を回復できるという研究報告です。
ジョンソン&ジョンソン社の支援のもとで研究です。
(Dermatol Surg 2016. PMID 27749441)

年齢が40~55歳の女性 32名の被験者に SPF 30の日焼け止めを毎日使用してもらいました。
光老化の評価項目(皮膚のきめ、透明感、色調、シミ、斑点、カラスの足跡)をそれぞれ12, 24, 36, 52週間の時点で評価しました。

その結果すべての項目について、時間とともに改善が認められました。
カラスの足跡だけはあまり改善しなかったということですが、他の項目は改善しています。

40~55歳の女性を対象とした研究で、美容的な観点で評価することが目的だと思われます。
日焼け止めの使用で、肌の若さを回復させると言えるかもしれません。

 

衣服で防御する

衣服の選び方は、紫外線対策にとっても重要な意味を持ちます。

衣服に覆われた部分は、それだけでも十分に紫外線から保護されています。
それでも弱い紫外線が皮膚に到達しますので、しっかり対策したい場合は目の細かい服を選ぶと紫外線の量を減らせます。
同様に色の濃い衣服のほうが紫外線をカットしてくれます。
厚手の生地も有効ですが、夏場は暑くなるので快適さとのバランスで服を選びましょう。

長袖や丈の長いズボンも、太陽光を有効に防いでくれます。

帽子やサングラスは、頭部や顔を太陽光から守るのに効果的です。

 

 

太陽光と付き合う

ここまでに太陽光によるリスクについて解説しましたが、太陽光を徹底的に避けるべきと言いたいわけではありません。

仕事のため、屋外で太陽光にあたらざるを得ない人もいるでしょう。

スポーツや趣味で、屋外の太陽光に多くあたる人もいるでしょう。

このような生活スタイルの人に推奨する対策は、衣服による太陽光防護をするとともに日焼け止めを使うことです。
また太陽光の強くない時間帯に屋外での活動をするのもよいでしょう。

 

ファッションとしての日焼け

小麦色に日焼けした肌は健康的で、魅力的でもあります。
そのためファッションとして日焼けしたい人もいるでしょう。

日焼けの方法にも、太陽光による日焼け、日焼けサロンのような機械による日焼けがあります。
いずれの場合も紫外線によって日焼けしますので、光老化や皮膚がんリスクの増加といった影響を受けます。

日焼けには楽しむという側面もあります。
人は健康面だけを判断基準に生きているわけではないので、太陽光によるリスクを理解した上で、日焼けのある生活を楽しむのもよいでしょう。

リスクとのバランスをとり、楽しい人生を送りましょう。

 

太陽光によるビタミンD生成

太陽光を極端に避けすぎることでビタミンDが不足する可能性があります。

太陽光に含まれる紫外線により、人間の皮膚ではビタミンDが生成されます。
ビタミンDにはカルシウムの吸収を促進し、骨を作って強くする作用があります。

人間に必要なビタミンDを合成するために、1日 15分 太陽光にあたれば十分と言われています。
普段どおりの生活をしていれば、多くの人は太陽光によって十分な量のビタミンDが合成されます。
身の回りにビタミンD不足が原因で骨が脆いという人はあまりいないと思います。
ビタミンDは食物(魚や卵)にも含まれていますが量は多くないので、皮膚で生成されるビタミンDと併せて必要量を満たしましょう。

乳児の場合はビタミンD欠乏症にならないように気をつける必要があります。
太陽光でビタミンDを生成するためには、15分間の太陽光に両手くらいの面積をあてればよいと言われていますが、日照条件や地域(緯度)によって異なるので定まった方法はありません。
完全に母乳のみで栄養を与えている場合はビタミンDが不足しやすいので、医師と相談の上でサプリメントなどの補助が必要かもしれません。
人口ミルクにはビタミンDが配合されているので、補うには効果的な方法です。

ビタミンDの必要量は、1歳までの乳児で 400単位/日、1~18歳および 70歳以上では 600単位/日とされています。
明確な目安は無いですが、日本に住んでいるのであれば 1日 15分くらい太陽光にあたればよいでしょう。

日焼け止めクリームなどを使っていても、通常の日常生活では十分なビタミンDが合成されると言われています。

もし医師にビタミンD不足と診断された場合、治療の中心はビタミンDの経口での補充になります(飲み薬)。

 

まとめ

この記事では太陽光によって皮膚が老化する『光老化』という現象と、その対策方法を解説しました。
太陽光から皮膚を守ることで、美しく強い皮膚を保ちましょう!

皮膚がんの予防についての情報をあまり伝えられませんでしたが、紫外線をカットすることは皮膚がんになる確率を減少させる方法でもあります。
それについては、また情報とファクトを紹介したいと思います。

この記事のまとめです。

 

まとめ

太陽光に含まれる紫外線によって、皮膚の老化が早まる現象を『光老化』と呼ぶ。

太陽光によって肌のきめ細やかさが失われ、しわが増加し、皮膚の強度が弱くなる。

太陽光に含まれる紫外線によって細胞内のDNAが損傷され、そのため皮膚がんの発生率が増加する。

太陽光を避けたり、日焼け止め(サンスクリーン)を使用することで光老化を防止することができる。

太陽光が皮膚にあたることには、ビタミンDを合成するというメリットもある。徹底的に太陽光を避けていない限り、日焼け止めを使用しながらの日常生活で十分なビタミンDが合成される。

 

 

  • この記事を書いた人

眞喜志 剛

Save Bookの運営者です。ウェブサイトを通じて、エビデンスに基づいた医学の知識を一般の方も使えるようにすることを目指しています。 救急医、集中治療医。 ドクターヘリで活動するフライトドクター。 2009年 奈良県立医科大学卒業。 2021年 名古屋商科大学大学院ビジネススクール卒業。 日本救急医学会専門医 | 日本集中治療医学会専門医 | MBA

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