生活

運動することのメリット

exercise_woman

健康的な生活の要素に『運動』があります。
では運動することで得られるメリットは何でしょうか?
ここでもデータとエビデンスから確認していきたいと思います。

歩くこと、運動することで健康になる意味を感じていただければ、人生の感じ方もより幸福になるでしょう。

 

この記事の重要メッセージ

『運動すること』の前段階にある『座っている時間を減らすこと』だけでも、脳卒中や生活習慣病を始めとした多くの病気を減らすというエビデンスがあります。

運動によって健康上のリスクを減らす効果は、1日 30分くらいで十分で、60分を超えたあたりで頭打ちになります。

 

 

運動と健康についてのエビデンス

現代人が活動的でいる時間は減っている

現代人の座っている時間が長いことは、よく知られた事実です。
生活が便利になる反面、座っていてもいい時間が増えました。
またインターネットやスマートフォンの普及で、座っていても楽しめる時間が増えました。

日本に似た先進国である、アメリカのデータを紹介します。
(JAMA. 2019: PMID 31012934)

人生の段階を子供 (5〜11歳)、思春期 (12〜19歳)、成人 (20歳〜)と分類しています。
調査したのは1日の中で『テレビやビデオをみている時間』、『学校や職場以外でコンピューターを使っている時間』、『1日で座っているトータルの時間』です。
下の表のような結果になりました。

5〜11歳 12〜19歳 20歳〜
1日に2時間以上、テレビやビデオをみる人の割合 62% 59% 65%
(20〜64歳 62%)
(65歳〜 84%)
1日に1時間以上、学校や職場以外でコンピューターを使う人の割合 56% 57% 50%
座って過ごすトータルの時間 8.2時間 6.4時間

さらにこの論文で述べられているのは、2001年と比較して2016年時点でテレビやビデオを見る時間が1日2時間以上の割合は変化していませんが、コンピューターを使う時間、座って過ごす時間は増えていることです。

 

座っている時間が長いことで、健康にはどのような影響があるのでしょうか?
何となくそれは不健康だと感じますが、悪影響があることを確認するためにエビデンスが必要です。
座っている時間が死亡率や、病気の発症率を増加させる、ということを示した研究を紹介します。
(Am J Epidemiol. 2018: PMID 29947736)

この研究では127,554人の慢性疾患がない人を、1993年から2014年の21年間で観察しました。
座っている時間が6時間以上と、3時間以下で比較したところ、6時間以上のグループに以下のような事実が確認されました。

1日に座っている時間が6時間以上のグループで確認されたこと。

全ての原因をあわせた死亡率が増加した。

次の病気の発症率が増加した:心筋梗塞や狭心症などの心臓病、脳卒中、がん、糖尿病、腎臓病、自殺、慢性閉塞性肺疾患 (COPD)、肝臓病、胃・十二指腸かいようなどの消化器疾患、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、神経疾患、筋肉や骨の異常

 

座っている時間が長いと、健康に悪い影響を及ぼすことがデータで示されています。

次は運動したり、活動的でいることによるポジティブな面を見ていきましょう。

 

座って過ごすより、立って歩いて活動的でいる方が健康に良い

最近、生活の中で『座っている時間』を減らそう、という取り組みが増えていると思います。
スマートフォンやウェアラブルデバイス (腕時計型の機器など)で、座り続けていると立ち上がるようにアラートを出すものがあります。
では座っている代わりに立ち上がること、活動することに本当にメリットがあるのでしょうか?

結論から言うと、メリットがあります。
そのメリットを示すエビデンスを、データと合わせて確認しましょう。
(Med Sci Sports Exerc. 2015: PMID 25628179)

59〜82歳の観察開始時点では慢性疾患がない約 154,000名を対象に、約 7年観察した研究です。
座っている時間、立って何かの活動をしている時間、運動している時間のデータを収集しました。
1日の座っている時間を12時間以上と5時間以下で比較すると、この研究でも同じように長く座っている方が死亡率が高いという結果でした。

それだけではなく、生活の中で活動的でいる時間が増えると、生存率によい影響を与えることが示されています。
立って活動している時間が1日2時間以下の人が、座っている時間の代わりに運動を1時間増やした場合、死亡率が42%減少しました。
また運動ではないですが、家事やガーデニングなどの活動を1時間増やした場合にも、死亡率が30%減少しました。
座っている時間の代わりに、立って何かの活動をしているだけで健康によい影響があるのです。

この効果はもともと活動している時間が少ない人に多く見られました。
立って活動する時間が1日2時間以上ある人の場合、あまり運動としての負荷がない活動を増やしても死亡率に変化はありませんでした。
このような元々の活動量が多い人でも、座っている1時間を運動する時間に変えたところ、死亡率が9%減少しました。

この研究からは、座っている時間より立って活動している時間が長い方が、健康によいことが示されています。
さらに同じ活動であっても、意図した運動のほうがより健康に対してメリットがあることも分かります。

 

運動のメリット まとめ

ここでは生活の中で運動することのメリットを紹介しました。
ポイントをまとめます。

まとめ

現代人は座って過ごす時間が増え、活動する時間が不足している。

座って過ごす時間が長いと、さまざまな病気の発症率、死亡率が高くなる。

座っている代わりに、立って何かの活動をしたり、運動したりすることで死亡率を下げることができる。

 

この記事によって、立って歩くことにも良い意味を感じていただければ嬉しいです。

次の記事では運動する習慣が無い人も、少しずつ運動し、健康な生活になれることを紹介します。
大事なのは『少しずつ』変えていくことです。
それが習慣になると、世界が大きく変わります!

  • この記事を書いた人

眞喜志 剛

Save Bookの運営者です。ウェブサイトを通じて、エビデンスに基づいた医学の知識を一般の方も使えるようにすることを目指しています。 救急医、集中治療医。 ドクターヘリで活動するフライトドクター。 2009年 奈良県立医科大学卒業。 2021年 名古屋商科大学大学院ビジネススクール卒業。 日本救急医学会専門医 | 日本集中治療医学会専門医 | MBA

-生活

© 2024 Save Book